ウパニシャッドは、「個と宇宙は本来ひとつ」という一元論を唱えています。
ウパニシャッドは、古代インドの哲学書で、聖典ヴェーダの最後に位置づけられます。
意味は「師のそばに座る」で、師から弟子に伝えられた深い智慧です。
「人間の本質」「宇宙の真理」。私たちの内にある真の自己(アートマン)と、宇宙の根源(ブラフマン)は本来ひとつだと説きます。
内面の探求や瞑想を通じて真理に近づく重要性を示し、ヨガや瞑想、さらには仏教や禅にも影響を与えた思想の源です。
ウパニシャッドはとても興味深い書ですが、本を手にすると理解しにくい文献が多々あります。
その、ウパニシャッドについて日常でもイメージしやすい話や比喩をお伝えします。
1. 海と波の例え(アートマンとブラフマン)
- 海=ブラフマン(宇宙の根源・絶対的な存在)
- 波=アートマン(個々の存在・私たちの本質)
波は形や大きさがそれぞれ違うけれど、本質的にはすべて海そのもの。
同じように、私たちは見た目も性格も違うけれど、本当の本質は、宇宙の根源(ブラフマン)と同じだと説きます。
「波は海から離れない。私たちも宇宙から離れてはいない。」
2. 壺と空気の例え(個と全体の一体性)
- 壺の中の空気=個人の魂(アートマン)
- 壺の外の空気=宇宙の根源(ブラフマン)
壺があると「中」と「外」が分かれているように見えるけれど、壺が壊れると、内と外の空気はひとつになります。
同じように、私たちが「これは私だ」と思っているのは肉体や心の制限があるからです。
その制限がなくなると、すべてはひとつだったと気づくのです。
3. 鏡と顔の例え(真我の気づき)
- 鏡の中の映った顔=私が思っている自分(心・エゴ)
- 本当の顔=真の自己(アートマン)
鏡に映った顔を見て「これが私だ」と思っているけれど、鏡がなくても本当の顔はそこにある。
同じように、私たちは思考や感情を「自分」と思いがちだけれど、それを超えたもっと深い存在(真我)があるということを示しています。
4. 塩水の例え(ブラフマンは目に見えない)
水に塩を溶かすと、もう見えなくなるけれど、味わうと確かにそこにあると分かる。
同じように、ブラフマン(宇宙の根源)は、目で見ることはできないけれど、瞑想や直感で感じることはできると教えています。
5. 太陽と影の例え(真理はひとつ)
太陽はひとつなのに、湖や池や水たまり、いろんな場所にたくさんの太陽が映る。
でも本当は、太陽はひとつ。同じように、真理もひとつだけれど、人々の心(器)が違うから、見え方がいろいろに分かれて見えるのです。
私たちは宇宙や自然と繋がっているんですね。寂しさや孤独を感じた時に「全ては繋がっている」ことを思い出してください。
ポーズの練習をしている時もこの「繋がり」を感じることでポーズが深まると言われています。